不動産売買をするときに、売主も買主も売買代金も決まっているため、不動産会社に仲介を依頼して「仲介手数料を支払いたくない」という方が増えています。
そのようなケースでも、不動産会社に仲介を依頼することをおすすめしています。
1. 不動産仲介とは
仲介とは、売主・買主の間に立って、不動産売買契約を成立させること、又はそれを業とする不動産会社のことをいいます。
具体的には、次のような業務を行います。
- 売却物件の販売活動(主に広告)
- 契約条件の調整
- 契約書の作成・重要事項説明書の作成
- 契約から引渡しまでの事務手続き
- トラブル発生時の対応
などが業務にあたります。
2. 仲介手数料とは
仲介手数料とは、売主・買主の間に入って意見の調整や契約事務などを行ない、不動産売買契約を成立させた不動産会社に支払う手数料のことを言います。
仲介手数料は取引が成立したことに対する成功報酬です。
不動産の売却や購入を依頼して、売買契約が成立しなかった場合は支払う必要はありません。
仲介手数料は、基本的には、売主・買主ともにそれぞれ3%+6万円が必要になります。
不動産会社を入れなかった場合は、売主・買主ともに仲介手数料がなくなります。
3. 不動産会社を入れなかった場合に考えられるケース
買主は、重要事項説明を受けることができません。
不動産という重要な資産の購入にあたり、消費者が分かっておくべき重要な事項を不動産会社が書類にまとめて行うものです。宅建業法35条で、宅地建物取引士による重要事項説明書の説明が義務付けられています。こちらは不動産会社でないと行うことができない内容です。
- 不動産登記された権利の種類・内容、登記名義人の説明
- 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限の概要の説明
- 私道負担に関する事項の説明
- 飲用水、電気、ガスの供給、排水施設の整備状況の説明
- 工事完了前のときは、完了時における形状、構造等の説明
- マンションのときは、敷地に関する権利の種類・内容、共用部分に関する規約の定め等の説明
- 中古建物であるときは、建物状況調査等の概要等の説明
- 代金以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的の説明
- 契約の解除に関する事項の説明
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項の説明
- 手付金等の保全措置の概要の説明
- 支払金・預り金の保全措置の概要の説明
- 金銭の貸借のあつせんに関する事項の説明
- 契約不適合責任の履行に関する措置の概要の説明
- その他国土交通省令・内閣府令で定める事項の説明
以上のことを事前に調査し、重要事項説明書にまとめ、不動産会社に登録されている宅地建物取引士が説明をします。
売主は重要事項説明をすることができません。
後になって、契約を解除したい、損害賠償をして欲しいと言われてもどうにもならないケースも出てくる可能性があります。
こじれた時に間に立ってくれる不動産会社を入れて、売買の成立後(最終残代金の支払後)にトラブルが発生しても、仲介に入った不動産会社を通して問題解決できるようにすることをおすすめします。
市販の契約書で、意味も分からず契約してしまうことになるケースもあります。
契約書の各条項には、売主にとって有利な条項(買主にとっては不利な条項)、買主にとって有利な条項(売主にとっては不利な条項)があります。そのようなことを見落としてしまうケースもありますので、不動産会社を通しての売買は大切になります。
不動産を売りたい・買いたいと思った時は、必ず不動産会社を通して安心・安全な取引をすることをおすすめします。