相続では、相続人を確定させるために、亡くなった人(被相続人)の戸籍謄本などが必要になります。離婚されたりしていると、元の配偶者との間に子供が居たり、認知している子、養子などが居るなど、家族に伝えていないことが出てくることもあります。
隠れた相続人が存在する可能性をなくすためにに、被相続人の存在だけでなく、出生まで遡る必要があります。
被相続人の死亡時の本籍地から死亡の記載がある戸籍謄本や除籍謄本を取得します。戸籍は市町村の管理になり、戸籍のある自治体に請求します。市町村の窓口や郵送などでも取得できます。
死亡時から遡り、従前の戸籍を示す「婚姻」「改製」「転籍」などの記載から、出生までの戸籍が必要になり、本籍を置いていた市町村に請求をし、出生から死亡までの戸籍を集めます。
戸籍法が1872年に施行されて以来、現在までに複数回の法改正に伴う戸籍の様式変更がありました。古い戸籍で除籍されている人は新しい戸籍には記載されないので、出生から死亡までの戸籍謄本などを取得しないと、相続人が確定できません。
被相続人が転籍や婚姻・離婚を繰り返していると、入手しなければならない戸籍の数が多くなります。配偶者と兄弟姉妹が相続人になるケースや、兄弟姉妹のみが相続人になる場合は、被相続人の両親や祖父母の戸籍を取得して、そこから兄弟姉妹の戸籍をたどることになります。
ほとんどのケースで、兄弟姉妹は婚姻により新戸籍ができているので、兄弟姉妹の戸籍を取得しないとならないケースが多いです。
被相続人名義の預金口座で相続の手続きをするときには、集めた戸籍謄本の束が必要になります。銀行では、通常、手続きが完了すれば、戸籍謄本の原本は戻ってきますが、複数の財産の財産の手続きを並行して進めるには、戸籍謄本の束がそれぞれ必要になります。取得費用や手間がかなりかかります。
このような不便な手続きを解消するために、2017年5月から「法定相続情報証明制度」がスタートしました。法務局に戸籍謄本等の束と相続関係を一覧にした図(法定相続情報一覧図)を提出すると、登記官が一覧図に認証文を付した写しを無料で交付するものです。
この一覧図の写しは、戸籍謄本等の束の代わりに使用できます。
提出した法定相続情報一覧図は、法務局で5年間保存されます。
この5年間でしたら、写しを再発行もできます。