生前にできる対策として家族信託をおすすめする理由とは
1.生前贈与と比べて費用面での負担も少ない。
これまでは、不動産を相続させるために有効な手段としては生前贈与という方法が主流でしたが、贈与には「贈与税」が発生するなど、有効な手段とわかっていてもハードルが高く困難でした。
しかし「家族信託」では「管理する権利」を託すだけなので、生前贈与に比べて負担は1/5程度で済みますので、この制度を利用する人が増えています。
2.家族信託は「遺言書」に代わる制度
家族信託は「遺言書」の代わりとしても利用できます。例えば、収益物件の管理を息子に、金融資産をもらう権利は妻にというような遺言に近い形で家族信託をすることが可能です。
まだ本人に判断能力がある段階で意向を明らかにしておくことで、死後の相続人間での紛争を未然に防ぐことができ、家族も安心させられるというメリットがあります。
3.認知症対策として最も有効です(重要)
家族信託は、不動産所有者が認知症になってしまった場合の対策として最も有効な制度です。
もし認知症になってしまった場合、正確な判断能力は無いという事になってしまいますが、かといって家族が本人の代わりに勝手に不動産を売却することは法律的にできないことになっています。認知症になったとしても所有権は本人にあるからです。
これと同じことは「後見制度」にも言えます。後見人は財産の運用や管理をすることが役割とされておおり、原則として所有者本人の了解を得ずに売却することはできません。
家庭裁判所により売却が認められた場合は売却が可能ですが、利便性はよくないと言えます。
しかし「家族信託」でしたら、家族の誰かを「受託者(息子など)」として信託を結んでいれば、その受託者の判断で不動産を売却することが可能なのです。
(次の記事「家族信託のメリット・デメリット」)